更に、池田さん(アゴラ)の勘違いを指摘する(その3)
今度は、先ほどの「その2」で紹介されているアゴラのページである。
http://agora-web.jp/archives/2022025.html
タイトルは、これ。
まず、タイトル自体が、間違っていると思う。
理由は、まとめて説明する。
続いて、文章(赤色は、管理人がつけた。間違っている部分なので、後で解説する)。
木村太郎氏が「私はアメリカ生まれだから二重国籍だ」とカミングアウトしたが、これは誤りだ。彼は国籍法附則3条の経過措置で、すでに日本国籍になっている。
次に、池田さんは、昭和59年改正時の附則3条を引用しているのだが、実は、引用ではない。池田さんの「創作」条文だ。どうして、こんなことになったのか!!
この法律の施行の際現に外国の国籍を有する日本国民は、この法律の施行の時に外国及び日本の国籍を有することとなつたものとみなす。この場合において、その者は、同項に定める期限内に国籍の選択をしないときは、その期限が到来した時に同条第二項に規定する[日本国籍]選択の宣言をしたものとみなす。
この「創作」条文も、後で解説。
そして、また文章。
「この法律の施行の際」というのは1985年で、このとき彼は二重国籍になったが、国籍選択はしなかったようだから、2年の「期限が到来した時に」自動的に日本国籍の選択を宣言したものとみなされる。だから1987年から彼は、日本国籍だがアメリカ国籍を離脱していない違法状態だ。キッシンジャーを引き合いに出しているが、アメリカの国籍法は二重国籍を認めているので何の根拠にもならない。
※ 太字は池田さん自身、赤字は管理人
それでは、解説。
国籍法附則3条の経過措置で、すでに日本国籍になっている
という部分。
池田さんの前の発言等を、いくつか見ているが、どうも、どこか根本的な所を勘違いしているようだ。
ザックリ言うが、日本国籍を持つ父母から生まれた子は、どこで生まれでも、日本国籍を有して生まれてくる(ただし、生地主義を採用する外国で生まれた場合は、国籍留保の届出をしないと、日本国籍が消えてしまう)。
繰り返すが、生まれた時から、日本国籍を有しているのだ。
「国籍法附則3条の経過措置」は、まったく関係ない。
「国籍法附則3条の経過措置」の規定は、あくまで「国籍選択の義務」に関する点だけに、適用される。
「国籍法附則3条の経過措置」の趣旨は、昭和59年改正時より前に、重国籍になっている者を、救済することだ(この規定がないと、何十年も違反状態だった、みたいな感じになる。)。
とりあえず、管理人がブツブツ言うより、先ほどの記事「その2」に掲載した解説本を、もう一度掲載する。
これを、「落ち着いて」読めば、分かるだろう。
それと、アゴラには、法律のプロがいないか、もしくは、池田さんには指摘しにくいようだから言うが、一応「附則」を話題にするときは、「昭和59年改正時の附則3条」等というように、いつ改正した時の「附則」かを書くべきである。
国籍法程度ならいいが、改正の多い法律は、これを書かないと意味が分からなくなる。
ただ、ツイッター等で、文字数制限がある場合、やむを得ないか・・・。
では、次。
本当の昭和59年改正時の附則3条は、次のとおり。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO147.html
附 則 (昭和五九年五月二五日法律第四五号) 抄
(国籍の選択に関する経過措置)第三条 この法律の施行の際現に外国の国籍を有する日本国民は、第一条の規定による改正後の国籍法(以下「新国籍法」という。)第十四条第一項の規定の適用については、この法律の施行の時に外国及び日本の国籍を有することとなつたものとみなす。この場合において、その者は、同項に定める期限内に国籍の選択をしないときは、その期限が到来した時に同条第二項に規定する選択の宣言をしたものとみなす。
とにかく、緑字の部分を読んでほしい。
この附則3条は、あくまで「国籍の選択」のための条文だ。
なぜ、池田さんは、この緑色の部分を削除して引用したのか。
緑字の部分がないと、意味が完全に変わってしまう!
故意ではなかったと願いたい。
じゃないと、ねつ造記事になってしまう。
そして
「この法律の施行の際」というのは1985年で、このとき彼は二重国籍になった
という部分も、誤りだ。
これは、先ほどの解説のとおり。
最後に
だから1987年から彼は、日本国籍だがアメリカ国籍を離脱していない違法状態だ。
の部分。
どうも、基本的に、(木村さんの場合は)違法状態には、ならないようだ・・・。
これは、先ほどの解説本に書いている(右のページの最後のパラグラフ)。
まあ、立案担当者が、そう考えていただけであって、違う解釈ができない、というわけではないだろうが・・・。