国籍法の理念について
今、何かと批判されている日本の「国籍法」であるが、管理人は、正直、よくできている方だと思う。
皆さんは、どうお考えだろうか。
ただ、管理人が、ちょっと気になるのは、日本への帰化の条件が、緩いことだ。ただ、これは、また後日。
今日は、日本の国籍法が、どのような理念に基づいて立法されたか、簡単に見てみたいと思う。
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大前提として、国際法上、その国の国籍を取得したり、失ったりすることは、その国の専権事項とされている。 したがって、他国の国籍の得喪について、我が国が、介入することはできない。
国際法上、いくつか理想とされる原則がある。
日本の国籍法が、積極的に取り入れている原則は、次のとおり。
(1) 血統主義
出生による国籍の取得について、自国民の子に、自国内で生まれたかに関わりなく、その国の国籍を付与する制度である。
基本的に、日本は、古来から、血統を重視する意識が根強い。
これは、誰も否定できないだろう。
そのため、採用されている。
一方、移民の国(アメリカ等)では、生地主義といって、出生による国籍の取得について、自国民の子かどうかにかかわりなく、その国の領土内で生まれれば、その国の国籍を付与する制度を採用していることが多い。
移民者の定着、同化の促進に役立つとされるためだ。
(2) 国籍唯一の原則
無国籍者は、権利として居住できる国がなく、また、どの国のパスポートも取得できないため、外国への移動が制限されるという不利益がある。
一方、重国籍者は、国家の有する国民への対人主権(外交保護権など)が、それぞれの国で衝突したり、また、国家が国民に求める兵役義務、納税義務、忠実義務等が、それぞれの国で衝突する恐れがある。
そこで、「人は、いずれかの国籍を有し、かつ、一個のみの国籍を有すべきである。」という国籍唯一の原則が、国籍立法の一つの理想とされている。
日本の国籍法も、この原則にのっとり、様々な規定を置いている。
外国人が、日本に帰化するに際し、原則として、従来の国籍を失うべきこととしている(国籍法5条1項5号、同条2項)。
また、今、蓮舫さんで話題となっている国籍選択の義務(国籍法14条1項)も、この原則の現れである。
(3) 国籍自由の原則
「国家は、個人の意思に反して、自国の国籍を強制すべきでない。」という国籍自由の原則(国籍非強制の原則)も、理想の一つとされる。
昔の日本の国籍法は、「妻は、夫の国籍に従う。」や「子は、父母の国籍に従う。」の原則に基づく規定があったが、現在の国籍法では、すべて廃止されている。